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チームのモチベーションを高める5つの手法

OKR⽬標管理

2025年07月22日

OKRとチームのモチベーション

Placul(プラカル)は、ユーザーの皆さんの「個人の成長促進」を実現するためにOKR機能を実装したものであることを、以前のコラムでご紹介しました。OKRは、Objectives and Key Resultsの略。Objectivesは「目標」「達成目標」、Key Resultsは「主要な成果」「成果指標」あたりが日本語訳だとするなら、OKRは「目標と、その達成のための主要な成果」という意味になります。

Placulは「個人の成長促進」を謳ってはいますが、個人ではなく「チーム」で使うことを前提に設計されています。個人目標と同様にチーム目標があり、個人の成果と同様にチームの成果が可視化されているのです。チームとしてのObjevtiveの例は、「チームメンバーの生産性に対する意識を向上させる」であり、これに対するKey Resultsが「チーム全体の平均残業時間を1.5時間短縮」といった具合です。

OKRの“Objective”、つまり「チーム目標」は、一緒に仕事するチーム全員のモチベーションを高めるような挑戦しがいのあるもので、1カ月から四半期(3カ月)である程度の成果が感じられるようなものが良いといいます。そこで今回は、「チームのモチベーション」について少し掘り下げ、これが向上する5つの方法について述べます。

チームのモチベーション

モチベーション(motivation)とは、直訳すると「動機付け」、簡単にいうと「やる気」という意味です。ビジネスの世界でモチベーションという言葉を用いる場合、組織内での「業務遂行に対する意欲」を意味することが多いでしょう。人間は機械と違って、仕事の結果や成果がその精神状態に大きく左右されがちです。仕事は、努力や苦労などがともなう活動であるため、いかにやる気をもって前向きに取り組むかによって、その成果には大きな差が生まれます。

個人ではなくチームのモチベーション

従業員のモチベーションを高めることは、組織にとって重要な経営課題のひとつと言われます。さらに近年は、終身雇用の崩壊による従業員の企業への帰属意識の低下、仕事に対する価値観の多様化などにより、従業員のモチベーションを高い水準で維持することが困難になっています。この課題を解決すべく、この分野の専門コンサルタントが存在しており、数多くの書籍が出版され、セミナーも開催されています。

しかし、苦労して従業員個人のモチベーションを高めても、思うように成果が上がらない場合も少なくありません。例えば、上司が個々の部下と話していると非常に意欲があるように感じられるのに、部署内でチームワークをするとその意欲が影を潜める、やる気満々だった新人がいつの間にかほかの従業員のようにやる気がなくなっているといったことがあります。

こうした問題が発生する原因のひとつとして、その組織の状況が考えられます。多くの組織にとって、仕事とは複数の従業員が協力して行うものであり、組織の中には仕事の種類などによって区分された部署や部門が存在します。こうした組織の環境や、組織間の関係が悪い方向に向かっていると、個々の従業員のモチベーションに気を配っても、なかなか成果が表れません。個人というより組織として、チームとしてのモチベーションを考える必要があるのです。

チームのモチベーションの重要ポイント

個々の従業員のモチベーションは、当然個々の気持ちのあり方により決まります。では、組織やチームのモチベーションはどうでしょうか。

組織もチームも従業員の集合体です。従って、チームのモチベーションを考えるうえでも、個々の従業員の気持ちは大変重要といえます。しかし、個々の従業員の気持ちがそのままチームのモチベーションに反映されるわけではありません。組織やチームの中では、個々の従業員の気持ちは「集団心理」の影響を受けるからです。

集団心理とは、集団を構成する個人が知らず知らずのうちに周囲の状況に流されてしまうことを意味します。例えば、当初は定刻に出勤することが当然と考えていた従業員も、周囲に遅刻してくる従業員が増えると、気持ちに緩みがでて遅刻するようになり、次第にそれが当たり前になったりします。逆に、周囲の熱い空気に流され、前向きに仕事するようになることもあります。

このように、人間は周囲の影響を排除できず、多くの個人がともに仕事をする組織や、日常的にコミュニケーションするチームでは、なおさら個人の気持ちは集団心理の影響を強く受けます。従って、チームのモチベーションを高めるには、集団心理を常に意識して考える必要があるのです。

さらに、チームの中には、集団心理の核となる従業員、あるいはほかの従業員のモチベーションに大きな影響力を持つ従業員がいるはずです。一般的にはそのチームのリーダーを想像します。組織やチームのモチベーションを高めるには、こうしたほかの従業員への影響力が強いリーダー的な従業員を把握することも重要となってきます。

チームのモチベーションの向上手法

チームのモチベーションを高める5つの手法をご紹介します。いずれの手法も、実際に導入する際は、集団心理の動きや影響力の強いリーダー的従業員の気持ちに注意しつつ、その効果を確認する必要があります。

組織内の環境改善

チームのモチベーションを高めるには、チーム内の雰囲気をよくするとともに、従業員の仕事に対する意識を高めて組織を活性化させることが必要です。そのためには、チームリーダーが、ほかの従業員に対して以下のような施策をとることが重要と考えられています。

■日常のコミュニケーションの充実

リーダーは、朝と終わりのあいさつはもちろん、できれば毎日1 回あるいは2 日に1 回は、従業員それぞれに何気なく声をかけるようにします。話題は特別につくる必要はありませんが、場の雰囲気が明るくなる話や、従業員が答えやすい話のほうが望ましいです。また、リーダーと従業員の間のコミュニケーションだけではなく、当然従業員同士のコミュニケーションを充実させることも重要です。従業員同士が仕事に関係のない会話で盛り上がっていても、騒がしすぎたり、長すぎたりしなければ、特に注意する必要はありません。

ただ、特定の従業員同士がいつも盛り上がっていて、ほかの従業員があまりよく思っていないようだったら、話を少し抑える必要があるでしょう。できればリーダーは、その盛り上がっている話に入っていって、よく思っていない従業員にも話を広げていくと、コミュニケーションの範囲を広げることができる。モチベーションの高い組織では、何でも話しやすい空気があるものです。

■従業員に考えるくせをつけさせる

リーダーは、会議などはもちろん、ちょっとした打ち合せでも、できるだけすべての従業員に何らかの意見を出してもらうようにします。ほとんど意見を言わない従業員には、リーダーが直接問いかけるとよいでしょう。その際、意見しやすい雰囲気をつくるために、例えば以下の手法を使ってみるのもよいでしょう。

 ● きなり具体的な案を求めるのではなく、感想や賛成反対など答えやすい質問から誘導する
 ● 従業員が出した意見は聞き流すことなく、まず肯定的に受け止める

こうした雰囲気づくりを、焦らず繰り返し積み重ねることで、従業員にとっては意見を求められることが当たり前になり、従業員が自然と自分の意見を考えるようになるはずです。

考えるくせを従業員に身に付けさせることは重要です。そうすれば、ただ何気なく仕事をこなすのではなく、従業員が自ら考えて主体的に仕事に取り組むことができるようになります。そして、従業員同士の間でもそれぞれの立場や考えを伝えあい、議論しながら仕事を進めていく環境が整えば、チームは少しずつ活性化し、チームのモチベーションが高まってきます。

■挑戦しやすい環境をつくる

リーダーは、モチベーションが高い従業員には、希望する仕事にどんどん挑戦してもらうような環境をつくるとよいでしょう。また、リーダーは、その仕事を任せたからといって放ったらかしにするのではなく、必要に応じて方向性を示す、相談に乗るなどのサポートをします。そして、挑戦させた仕事が成功すれば、一緒に喜び、失敗しても決して怒鳴ったりせず、ともに失敗した原因や対策を考えます。

チームのリーダーがこのようなスタイルの仕事をすることで、従業員の間に仕事に対する挑戦意欲が生まれ、チームは活性化してモチベーションが高まります。

チーム目標と行動指針の明確化

チーム内の雰囲気がよくなり、活性化できたとして、そのチームはどこへどのように向かえばよいのか。それを示すのが、チーム目標とその目標を達成するために必要な行動指針です。

チーム目標と行動指針がはっきりしていないと、チームとしての仕事の優先順位や進め方を判断する基準があいまいになります。これでは、せっかく活性化したチームも、何が正しいか分からなくなる、あるいは一度決定したことが何度も変更されるといった事態に陥り、チーム内に不満が生まれてしまいます。また、せっかく組織の従業員が頑張って成果を上げたつもりでも、そのチームに与えられた目標とずれていたり、目標を下回っていれば、そのチームは評価されず、内部に不満が生まれてしまうことになります。

従って、チームリーダーは、与えられた目標をもとに、それを達成するためのチームの行動指針を定めて、すべての従業員に落とし込まなければいけません。目標や行動指針は、具体的かつ分かりやすくなければ従業員に浸透しません。仮に行動指針や与えられた目標が分かりにくい場合は、チームリーダー自身が数値化を行うなどして分かりやすくする必要があるでしょう。

こうすることで、チームを構成する従業員が一つの方向を向き、乗り越えるべきハードルを明確に意識して仕事を進めるようになります。その結果、チームはますます活性化してモチベーションが高まることになります。

役割と責任範囲の明確化

チーム目標や行動指針も決まって積極的に動き出したチームにも、まだ障害はあります。それは必要以上に仕事がやってきてしまうことです。どんな組織でも、前向きで積極的なチームには仕事が集まってくる。その集まった仕事がチーム目標や行動指針に合致している、あるいはチームにまだ余力があり、従業員たちが仕事を希望しているのなら問題はありません。しかし、そのどちらでもないのなら、その状態が長く続くことで、従業員の間に「どうして私たちだけが…」といった気持ちが生まれてしまいます。

担うべき仕事の範囲、すなわちチームの役割と責任範囲をあらかじめ明確にしておく必要があります。そして、チームリーダーは、その範囲を超える仕事がほかの組織から集まってきて、組織に負荷がかかりすぎるようなら、上司やほかの組織と相談して、仕事の量を調整します。

とはいえ、どうしても前向きなチームには仕事が振られてしまいます。役割と責任範囲内の仕事の量が増えすぎた場合、チームリーダーは、従業員の状況をみながら人員を補充するなどして、チーム全体のモチベーションを下げないようにリソースを調整します。

必要な権限の付与

チームの役割や責任範囲が決まり、目標達成に向けて動き出したら、次は一定の権限の委譲を行います。

いちいち決済を仰がなければならない事項が多く、かつそのスピードが遅いと、チームにとって大きなストレスとなります。また、目的や期間が定められたプロジェクトチームの場合、どこまでの仕事を割り振ることができるのかといった権限が明確に定められていないと、トラブルの原因となり、チーム内部に大きなストレスを招くことが多くなります。仕事を「割り振る」側にはあまり問題ありませんが、仕事を「割り振られる」側にしてみれば、それだけ仕事が増えてしまうことになり、それこそモチベーションがかなり高い組織でないと、「割り振られる」仕事をできるだけ減らしたいと考えるはずです。

この手のストレスの緩和には権限移譲が有効です。それぞれのチームに目標を達成するのに十分な権限を与えることが不可欠といえます。そうしなければ、チーム内部にストレスが生まれ、モチベーションを下げてしまうでしょう。

チーム間の良好な関係の構築

しかし、必要な権限を与えただけでは、チーム間で仕事がうまく進むとは限りません。権限とは、あくまで大枠を定めたものであり、また権限の範囲内の行動であっても、一方のチームがもう一方のチームに無理をさせ続けると、無理をさせられた側には不満がたまっていくことになります。

例えば、よく聞くのが、営業チームと現場チーム(製造あるいはサービス提供部門)の対立。営業が顧客からの急な依頼を受け、現場に短い納期で製造依頼をかけることはよくあり、現場にとっては当然負担が増えます。いくらモチベーションが高い現場でも、こうした製造依頼が度重なったり、営業が「顧客からの依頼なのだから仕方ない」といった態度を取ると、現場には大きな不満が生まれ、両チームの関係は悪化し、現場の仕事に対するモチベーションは下がってしまいます。

急な依頼など、一方のチームがもう一方のチームに負荷をかける場合は、無理をお願いするという姿勢を忘れずに、負荷をかけることになった経緯と理由をしっかりと説明して納得してもらわなければいけません。さらに、チーム間で普段から互いに労をねぎらう、コミュニケーションをとるなどして良好な関係を保っておくことが必要でしょう。

関連する組織やチーム同士が小さな配慮を積み重ね、良好な関係を保っておくことで、それぞれのモチベーションを下げることなく、仕事に取り組むことが可能となります。チームリーダーは、関連する組織の長とよい関係を築いておくとともに、折に触れ関連するチームの従業員の労をねぎらったり、チーム間で従業員同士が交流する場を設けたりするとよいでしょう。

5つの手法のまとめ

これまで述べてきたチームのモチベーションを高める5つの手法をまとめると、以下のようになります。

  1. 従業員同士のコミュニケーション、意見交換を活発化させるとともに、チーム内に挑戦する空気を生み出して、チームを活性化させる
  2. 従業員にチームの目標と行動指針を明確に落とし込み、チームを一つの方向に向け、従業員に乗り越えるべきハードルを意識させる
  3. チームの役割と責任範囲を明確にし、チームに負荷をかけすぎない
  4. チームの目標を達成するために十分な権限を与える
  5. 関係するチーム間に良好な関係を築き、ほかのチームと仕事をする場合も従業員がストレスなく仕事を進められる環境をつくる

チームリーダーが、こうした策を実行することで、チームのモチベーションは上がり、仕事に前向きに取り組む活気ある状態をつくり上げて、それを維持することが可能になります。もちろん、このような手法は一朝一夕で成功するものではありません。例えば、目標や行動指針、役割や責任範囲、権限を適切に決めても、それを従業員の心に浸透させるには、チームリーダーの熱意と根気が不可欠です。

既にモチベーションが下がっているチームを改革する際は、前述した「集団心理」が大きな壁となるでしょう。チームの雰囲気を多少改善させても、モチベーションが下がった状態が集団心理となっている場合、改善はすぐにまた押し戻されてしまうのが普通です。こういう場合、ほかの従業員へ影響力が強い従業員を正確に把握し、その従業員を中心に改革を図っていくことが重要となります。

組織のモチベーションを高めるためのハードルは、決して低くはありません。しかし、チームとしてモチベーションが高まるということは、個々の従業員がお互いにモチベーションを高めあうことにつながるため、それが仕事の生産性に与える影響は、一従業員のモチベーションの高まりとは比べ物にならないくらい大きなものになります。チームのモチベーションを高めることは、チームリーダーにとって最も重要な課題のひとつといえます。

モチベーション向上のためにOKRを導入してみようと考えているなら、ぜひそれを支援するIT基盤としてPlaculをチームコラボレーションツールとして無料で試して[1]みてください。


[1] https://placul.jp/plan/

この記事の執筆者
データ・アプリケーション
Placulマーケティングチーム
経歴・実績
株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。

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