2025年04月23日
目次
2025年2月に公開したPlacul(プラカル)ブログの記事『セルフマネジメント能力が社内ミーティングを改善する』[1]では、Placul最大の特長である「セルフマネジメント力を育てる」ことが、社内ミーティングの質を高め、時間やコストの無駄と言わせない環境をつくることに貢献できる可能性があると述べました。
Placul利用により「セルフマネジメント」を習慣化することは、Placulプラットフォーム上で実施される仕事以外の業務を改善する可能性を持っており、そのひとつが業務時間の3割を占め、時間の無駄と思われがちな社内ミーティングの改善であるという記事です。
社内ミーティングの改善に対する関心は高く、個々人のセルフマネジメント力で無駄を省くというより、社内ミーティングそのものを「活気あるもの」にしたいというご要望が多いということが分かりました。
職種や職業によって多少の違いはあるものの、「会議なんてまったくない」という社会人はいないはずです。特に「社内ミーティング」は、仕事にかかわる多くのテーマについて議論し、最善策を決定する場だと考えていいでしょう。
仕事を続けていると、国内外の政治動向、景気変動や競合の動向といった外部環境の変化、新商品の開発や人材募集などの内部資源の変化に必ず直面します。当然、さまざまな懸案事項が発生し、個々の懸案に適切に対応しなければいけなくなります。そのためには、会社組織であれば多くの社員の知恵の出しあいと、社員の意思統一が必要となります。意見を聞いて多面的に議論し、それらを調整する場の一つが社内ミーティングです。
社内ミーティングには、「部門内、部門間、会社全体」の意思統一を図るといった役割もあります。異なる部門の長が意見を調整したり、経営者が自ら方向性について発表したりすることで意思統一を図るのです。これは非常に重要なことであり、これが実現できていない場合、例えば以下のような問題が起きます。
● 経営者のビジョンが全社的に共有されていない
● 部門や各部署の売上目標が社員に認識されていない
これでは、目を閉じて車を運転しているようなもの。自分たちがどこにいて、どこに向かうかを社内ミーティングで共有するのは本当に大事なことなのです。
しかし、以前の記事でも書いた通り、多くの場合は社内ミーティングに対する風当たりが厳しく、「時間の無駄」「コストの無駄」などの指摘を受けることがあります。ここで改めて社内ミーティングの重要性を認識し、活気ある社内ミーティングを考えてみましょう。
ひとことで「社内ミーティング」といっても色々あります。ここでは会議の種類と、課題点をまとめてみましょう。
社内ミーティングはさまざまな名目で開催されますが、それらを目的別に分類すると次の4種類になります。
● 連絡(伝達)会議:情報の伝達と確認を行うための会議。経営者が今後の経営方針などを周知徹底する場合などに行われます。
● 対策(問題解決)会議:情報交換だけでなく、問題を具体的に解決するための会議。例えば、不良品など消費者から寄せられたクレームへの対策を検討したりします。
● 調整会議:社員間や部門間の利害の対立を調整するための会議。双方の歩み寄りの姿勢が重要になります。
● 決定会議:結論が出た議案について、正式な決定を下すための会議。部門から上がった事案でも、決定会議により全社的な取り決めなり、全社員がこれに従う場合もあります。
前述のように社内ミーティングにはいろいろな種類があります。時期によっては毎日のように会議が行われ、「会議に参加することが仕事」となってしまうことさえあるでしょう。これが原因で「社内ミーティングはムダなものだ」という意識がうまれることもあります。
一般的に、社内ミーティングには次のような課題があるといわれています。
■「座談会」になってしまう
社内ミーティングの中には、会議という大義名分で行われている「座談会」になってしまっているケースがあります。参加する社員から何も意見が出ないばかりか、居眠りする者までいるといった状況にもかかわらず、「何年も続けているから」「会議をしなければ落ち着かないから」などの理由だけで会議が開かれるケースです。
会議の目的を「コミュニケーションを図りながら社員の知恵を集約するとともに、組織の意思統一を図る」とあらためて認識し、座談会からは脱却しなくては本当に時間の無駄になります。
■「話し下手」の発表者
情報の伝達と確認を目的にする連絡会議では、発表者は経営者や役員やリーダー職となります。社員は真剣にその話に聞き入り、理解しようと務めるのが本来の主旨。しかし、会議が長時間であったり、回数が多い場合、発表者の話が上手でなければ聞いているほうは飽きてしまいます。発表者が重要な話をしていたとしても、参加者が退屈に感じてしまっては、伝達という目的を達成できません。
途中で質疑応答の時間などを設けて気分転換するなど、何らかの方法で聞く側の集中力低下を防ぐ工夫が必要になります。
■「頻繁すぎる」回数
定期的に集まって社員間のコミュニケーションをとり、互いの近況報告を行うことは非常に大切なことです。ただ、「社内ミーティングは継続することに意義がある」と考える経営者は、大きなテーマがなくても会議を開くことがあります。こうした体制は見直したほうがよいでしょう。
例えば、期末など忙しい時期に、時間を割いて参加した会議が内容の薄い座談会では、社員から不平が出ることが容易に想像できます。地方から会議のために出張してくる社員の場合、出張コストの問題もあります。会議が頻繁すぎるとさまざまな問題が生じます。
本来、社内ミーティングは会社の重要事項を決定するための大切な場で、参加者は積極的に会議に参加しなければいけません。しかし、上述のような課題から、会議の意義が薄れてしまっているケースがあります。ここでは、マンネリ化し単なる座談会となってしまった社内ミーティングを再び活気あるものとするための留意点について考えてみましょう。
決まった日時に開かれる定例会議は、部門間や社員間のコミュニケーションを図るうえで重要です。定例会議を活性化させるためには、会議の回数を見直して会議運営の効率化を図ることが大切。例えば、以下の2点だけでも効果的です。
● 特に議題のない時は中止する
● 伝達だけならメール配信で済ませる
メール配信については、Placulのメッセージ機能や社内掲示板ツールでも構いません。すべての事項を社内ミーティングで決定する必要はないのです。メール配信で済む程度の報告を社内ミーティングで行っているのであれば、それは時間の無駄といえます。
「最近の業績不振をどう打開するか」などのテーマで会議を開いた場合、議題が大きすぎて、意見を求められた参加者もどんな発言をしてよいか迷ってしまうでしょう。また、ブレーン・ストーミングによって、とにかく多くのアイデアや意見を集める場合、議題の設定によってはアイデアがバラバラで収拾がつかないこともあります。
議題は、具体的かつ細かく絞り込むことが大切。「最近の業績不振をどう打開するか」ではなく、「A商品の販売数が伸び悩んでいて、それが利益を圧迫している。A商品の販売数を伸ばして利益拡大を目指すにはどうしたらよいか」と設定するほうが、有益な社内ミーティングになるはずです。
「A商品の販売数を伸ばすための戦略」をテーマに会議を開く場合、参加者に日時とテーマだけを伝えるだけでは活発な意見は期待できません。会議を開く前に、例えば、「A商品の最近の販売実績の推移」や「同業他社の類似商品開発動向」などの具体的な情報を提供すれば、参加者は現状を把握したうえで会議に参加することができます。
業績などを報告するだけの伝達会議の場合、質疑応答の時間がないことが多いと思います。誰がみても明らかな客観的事実を伝えるだけの会議なら、質疑応答の時間がなくても問題ありません。しかし、役職に関係なく上司が部下と一緒に参加している場合、上司と部下が知っている情報に大きな開きがあると認識しなければいけません。上司にとっては当たり前のことでも、部下にとってはよく分からない話しであることが多々あります。
その際、質疑応答の時間がなく会議が終わってしまえば、部下は疑問を抱いたまま会議を終了することになってしまいます。特に新入社員が参加しているような場合、若手社員は会議の内容に疑問を感じていても上司に遠慮してなかなか質問ができません。若手社員に対しては、会議終了後に上司が個別に説明するなどの配慮が必要になります。
若手に社内ミーティングの議事録を作成させるのも良いアイデアです。議事録を作成するためには、社内ミーティングの内容をすべて理解しなければならないため、会議への参加意識が高まり、不明な点は自発的に質問するようになるはずです。
社内ミーティング成功のキーマンは議長です。議題を十分に理解しているばかりでなく、雰囲気の明るい人、話しの上手な人を議長に選出するのがベスト。適切な人材がいない時は経営者自らが議長を務めるケースが多いです。話しが上手とは限りませんが、「経営者が議長」というだけで、他の人がやるより雰囲気が引き締まります。
会議の充実とスムーズな運営にはそれなりのスキルが必要です。議長に相応しい人材とそのスキルについてまとめてみましょう。
■明るい雰囲気
議長は会議のムードメーカー。議長の人柄によって会議室の雰囲気はリラックスしたものにも堅苦しいものにもなります。理想的なのは、時に応じて冗談をいって雰囲気を和ませることができるような人。反対に、真面目で堅苦しい人が議長になると、会議は少し居心地の悪いものになってしまいます。
■感情のコントロール
計画的に会議運営したつもりでも、会議はふとしたことで脱線するのが常です。また、質疑応答の時間を設けても誰も発言しなかったり、参加者があくびをしている場合、会議を取り仕切る議長が機嫌を損ねてしまうこともあるでしょう。しかし、このような時でも、議長には決して表情や態度に出さずにクールに対応し、会議の進行を計画通りに修正していける能力が求められます。
■聞き上手
大勢の参加者の前でも物怖じせずに会議を進めるために、人前に出ることに抵抗を感じない人を議長とすることが大切。ただし、人前で発言することが大好きな人を議長にすることはあまりお勧めしません。あくまでも議長は会議の進行役、まとめ役です。議長がしゃべり過ぎると参加者がしらけてしまうこと往々にしてあります。議長と参加者の発言時間の割合が3対7くらいの、聞き役に徹するくらいがちょうどいいと言われます。
■中立的なふるまい
議長も議題に対して自分の意見を持っています。しかし、議長はいつでも中立的な立場で会議を進行することを心がけなければいけません。議長の発言に個人的な意見が入ってしまうと参加者の発言を公平に判断することができないからです。議長は、常にすべての参加者に公平で、参加者の意見の引き出し役でなければいけません。
■臨機応変な対応
ミーティングには、キョロキョロと辺りを見回し落ち着かない参加者や、あくびをして居眠りしている参加者もいるでしょう。発言を独り占めする者もいれば、批判的な発言ばかりする参加者もいます。このような際、「場の空気」を察して、臨機応変に対応できる議長が理想です。
例えば、居眠りをする参加者がでてきたら、休憩時間を設けるとか、席替えをして会議室の雰囲気を新鮮なものとするのが臨機応変な対応です。会議へ積極的に参加しない人に対しては、思い切って名指しで質問してみるのも会議の活気につながります。発言時間の長い参加者がいる場合には、あらかじめ「発言は○○分以内でお願いします」などと伝えれば会議の雰囲気を壊さずに済みます。
社内ミーティングには様々なケースがあり、ここまで色々と述べてきましたが、要は議長として「会議の場数を踏む」ことが、活気ある社内ミーティングの運営に直接つながります。ここまでのスキルは、会議運営のマニュアル本で勉強するより、議長としての実践によってうんと向上するのは間違いありません。
今回の記事はPlaculの機能等とは直接関係ありませんが、関心の高い「社内ミーティングの改善」のヒントとして提供します。
[1] https://placul.jp/help/blog/20250212-1/
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データ・アプリケーション Placulマーケティングチーム |
経歴・実績 株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。 |